第9回日本ラブストーリー大賞 1次選考あと一歩の作品(1)

『ボカロ♪に恋して』/安東 たけし 

 あらすじ&コメント

新美隼人(にいみはやと)は高校三年生。進路希望はまだ白紙。身長、運動、学力どれをとっても平均で目立つ要素はほとんどなし。一年の秋にバスケ部を自主退部して以来、クラスにそれとなく息づくヒエラルキーの中盤あたりに位置し、無色透明に過ごしてきた。いつもイヤホンで聴いているのは、ボーカロイドの初音ミク――。

そんな彼の生活が、学校のアイドル、十条莉亜との出会いによって変化していく。彼女にボカロ楽曲を作っていることがばれ、それがきっかけで仲良くなったのだ。莉亜を好きになっていく隼人……何に対しても中途半端と自覚している彼は、変わることができるのか?青春ど真ん中、淡い恋物語。

 主人公は、いまどきよくいそうな、自分に自信がなく大抵のことは自分とは無関係だと思っている隼人(通称ニート)。登場人物が、リアルな等身大の高校生なのかな? と思わせてくれたこと、また、主人公の成長していく姿が気持ち良く、世代を問わず共感できるのではないかと思いました。

ただ、これといって目新しい作品ではなく、全体的に読み手を飽きさせない「しかけ」がもう少し欲しかったです。

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